日中経営者フォーラム(略称:CJCF)では、2014年度の新たな試みとして今回、日中・アジアの大企業トップ経営者へのアンケート調査を企画いたしました。これは近年日中関係が悪化 し、2014CJCF開催当時は首脳会談はじめとする両国政府の関係改善の兆しが見えなかったため、日中の経営者が本状況を 如何に捉えているかを公に明らかにすることにより、日中の経済的交流が政治的状況に影響されず正常に行えるような環境づくりを目指すと共に、日中両国が世界経済における重要かつ肝要な役割を今後も果たしていくことを目的としています。
アンケート結果は励みとなる積極的なもので、アンケートに参加したすべての日中・アジアの大企業トップ経営者らが日中間の関係改善を希望し(図1)、日本側企業の83%が日中間の 課題と挑戦の中でも中国への投資を継続拡大していることが判明いたしました(図3)。
1. 日中の関係改善への期待(4択):強く希望・改善を希望・現状のままでよい・改善の必要はない

●日中・アジアの大企業トップは引き続き互いを評価し投資を続けている
日中両国間の関係は現時点では課題や挑戦が多いものの、それでも相手国との協業を強化したいと答えた日中・アジアの大企業のトップは97.1%を占め、協業を縮小もしくは放棄したいと考えている大企 業トップは一人もいませんでした(図2)。
2. 中国/日本(相手国)との協業(4択):強化したい・現状のままでよい・縮小したい・望まない

また特に注目すべきなのは巷でチャイナ・リスクが叫ばれる中でも中国を重点的な投資先と考えている 大企業トップが全体の41%となり、日中・アジアでの投資が全体の約8割を占めたことや、昨年度と比較して中国への投資を引き続き同程度に保っている大企業が83%に上ったことです(図3)。
3.本年度の投資先の重点(複数選択可)および昨年度と比較した中国への投資

※複数選択が可能な場合、全体的に見たグラフの構成比(%)は個々の回答の実際の比率とは異なります。
●今こそ必要とされる、日中・アジアのグローバル経済ネットワーク
日中経済界の相互交流強化のための最も重要と思われることについて聞きました。その結果、日中・アジアのグローバル経済ネットワー クおよびお互いの利点や強みを生かす互恵プロジェクトの始動が必要とされていることが明るみに出ました(図4)。
4.日中経済界の相互交流強化のためにもっとも重要と思われること

CJCFまたワールド・リーダーズ・センター(略称:WLC)の目的は、そのようなグローバルな志のある経営者間のネットワークの構築であり、また プロジェクトを可能にするアジア発グローバルリーダーの発掘と育成にあります。CJCFが担う役割の大きさが明確になったと言えます。
●両国の経済発展のためにもっとも重要なのは「交流」と「対話」
最後の「両国の経済発展のためにもっとも重要なのは何だと思いますか(自由回答)」という質問に対し て、日中・アジア共通に挙げられたのは「交流」と「対話」でした。
中国・アジアの大企業トップからはさらに「(具体的な)行動を起こす」「民間の交流活動を頻繁に行う」「平和と安定」「相互理解」が挙げられた一方、日本人経営者からは「(経済上の)信頼関係」「(トラブル等 の)調停機関の設立」「(CJCFのような)経営者同士の交流」「相互の信頼と敬意」といった意見のほか に、「経済交流を政治関係の改善に繋げる」「(経済への)政治的介入を避ける」「政治の正常化と問題解 決能力の向上」「(経済だけでなく)首相や政府や民間挙げての交流と対話」といった意見も寄せられました。CJCFまたWLCはそのような大企業トップらの要請のもとに活動しており、アジアの大企業トップらのためのハイレベルなフォーラムを今後共開催予定です。
●アンケート概要
■2014CJCF参加者数:62名(日本41人・中国(香港含む)18人・東南アジア2人(タイおよびシンガポール)・ニュージーランド1名 ※同行者7名を含め総参加者数は約70名 ■日中・アジアの大企業トップ経営者からの有効回答数:35名(約60%) ■回答方法:アンケート提出(任意) ■調査時期:2014年6月4日(2014CJCF終了後)
|