日本経済新聞  2010年9月11日

「両国企業発展へ 相互理解深化を」

 日中の企業家が一堂に会する「日中経営者フォーラム」(中国の投資会社、環球都市集団など主催)が10日、都内で開催された。青島ビール(山東省)の金志国·董事長や武田薬品工業の長谷川閑史社長100人以上の経営者が参加。共通の経営課題を全員参加形式で議論し、両国企業のさらなる発展には「相互の理解と信頼を深め、共生する意識が不可欠」との意見で一致した。

 日本企業の中国市場開拓について青島ビールの金董事長は「文化の違いに適応し、中国のルールに柔軟に対応する経営姿勢が重要」と指摘。上海復星高科技(集団)の梁信軍·副董事長は「政府関係者との長期的な信頼関係の醸成が欠かせない」と強調した。

 日本企業が持続的に発展を続けてきた理由に関して、資生堂の前田新造社長は「長年、人材育成を第一に経営してきた結果だ。人材やブランド力は一朝一夕で育たない」と発言。ローソンの新浪剛史社長も「人的資源が企業の最も重要な資本である」と訴えた。

 非営利の同フォーラムは今回が2度目の開催(昨年は北京)。主催者である環球都市集団、尹銘深·董事長は「日中企業は一段と『対話』を増やし、協業を促進することが大事だ」と話した。

 

    日経産経新聞  2010年9月14日
 

日中経営者フォーラム

日中協業の一助に

環球都市集団の尹氏に聞く


 日中の企業家が一堂に会する「日中経営者フォーラム」。都内で10日に開かれた2回目会議には青島ビール(山東省)の金志国·董事長、武田薬品工業の長谷川閑史社長ら両国の経営者100人以上が出席、全員参加形式で共通課題を探った。同フォーラム創立者である中国の投資会社、環球都市集団の尹銘深·董事長に総括を聞いた。

 ——昨年は北京、今年は東京で開催した。

 「多くの経営者から『形式のとらわれない対話が出来た』との声をいただいた。日中間の会議は多くあるが、単なる名刺交換でなく本音で語り合うのが目的。今回も率直な意見交換ができた」

 ——中国に進出する日系企業の苦戦も目立つ。

 「中国のスピードと変化に対応できていないことが最大の理由だ。協業は増えたが、ビジネス文化の違いや現代中国の理解不足、そして対話もまだ足りない。解決できる問題は多い。このフォーラムが企業経営の一助になればと思っている」

 ——来年以降は。

 「中日間には相互の理解不足と信頼の危機が存在する。フォーラムの使命は、智恵を共有して日中企業のグローバルな協業とウィン·ウィンの関係を築き上げることだ。今後10年は継続したい」

(聞き手はアジア部 阿部将樹)