中国の経済が日本を抜いて世界第2位になるという状況の下で、1位、2位というのはそんなに重要なことではなくて、やはり質だと思っています。中国が第2位というところを見ても、1人あたりのGDPは、まだ日本の10分の1です。そのために手放しで喜ぶことはできません。このデータの後ろに何があるかということを、冷静に見る必要があると思います。 日本の経済発展は私たちにどういうことを教えてくれるかというと、まず「日本の経営者はチャンスをとらえている。またイノベーション能力にも長けている」ということです。日本では1964年に東京オリンピックが開かれて、それが東京オリンピック景気をつくり出していますが、このチャンスをうまく使い、日本企業あるいは民族の風格を大いに発揮したと思っています。それによって日本経済と企業を、高度成長に押し上げたと言うことができます。これは世界的にも有名なことです。 日本企業が中国にて失敗している例が多いとの話についてですが、やはり適応できないということがあると思います。文化の違いとか市場法則の違いがあります。中国の市場競争のルールは必ずしもWTOの正確な軌道に乗っているとは言えない状況です。「新たな高速道路ができても、まだどうしたらいいかわからない状態の人たちがたくさん走っている」という感じの市場です。経営者から見ても、そんな感じです。 たとえば日本の企業家は、スピードを出してはいけないと言われればスピードを出しませんが、中国ではそうでもありません。中国の企業家は柔軟性がありますが、必ずしも規範を守るわけではない。日本の経営者は、規範はきちんと守るけれども柔軟性が足りないと思っています。 |